「砂の器」は松本清張の小説です。
小説は映画化されましたが、その映画には小説にない印象的なシーンがあります。
それは、ハンセン病を患い村を追われる父親と幼い息子が、日本の原風景ともいうべき美しい山や海岸を彷徨うシーンで、その中で描かれる親子の情愛の深さには何度見ても涙してしまいます。
「砂の器」は人の持つ偏見の怖さと弱さ、親子の情愛の深さ、そして平凡で決して豊かではない人たちの優しさと美しさを見事に描いています。
この小説はハッピーエンドではありませんが、私に人間の本質を考えさせるきっかけを与えててくれました。
機会があれば、ぜひ読んでいただきたい小説であり、見てほしい映画です。
はじめてこの映画を見たのは、大学1年生の時、博多中州にある大きな映画館でした。
平日の午前中だったので、観客は私以外にもう一人しかいなくて、映画の内容の重さに、なんとも言えない寂しさとやりきれなさを感じたことを今でも覚えています。
出演者の丹波哲郎.や森田健作、加藤剛の若くていい男ぶりは今でも目に焼き付いています。
その中州大洋映画館も今年3月末で閉館となりました。
学生時代の思い出がまた一つ消えてしまったかと思うと、寂しい限りです。
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