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滝口康彦没後10年!傑作時代劇小説『異聞浪人記』と映画『切腹』の魅力を堪能!

『切腹』(せっぷく)は、1962年(昭和37年)9月16日公開の日本映画。配給は松竹。滝口康彦の小説『異聞浪人記』(1958年)を元に橋本忍が脚本、小林正樹が演出・監督した作品である。
目次

「異聞浪人記」と「切腹」の魅力

滝口康彦氏は多久市居住の時代劇作家で没後早10年になる。

昔から時代劇小説に親しみ。山本周五郎、藤沢周平、そして滝口康彦の三人をよく読んできた。

それぞれの作風を独断と偏見で評すると、山本周五郎は格調高いが説教臭く、藤沢周平は泣かせるが技巧的、滝口康彦は無残すぎて辛いということになる。

滝口の小説で特に好きなのは『異聞浪人記』。病床の妻子を置いて家を出た浪人がなぜ無惨な最期を迎えるのか、滝口は冷徹に描いている。

幼い子を救いたい一心で犯した過ちを武士たちは決して許さず、非道な方法で追い詰める。その無情さには胸をえぐられる。

この作品を原作に1962年に映画化された『切腹』も傑作だ。仲代達矢の演技は、下級武士が味わう無念さと意地を体全体で表現し鬼気迫るものがある。

滝口は下級武士の悲哀や苦悩を描き続け、武家社会の冷酷さと無残さを浮き彫りにしている。中でも『異聞浪人記』はその筆致が際立ち、秋の夜にぜひ読んでほしい短編だ。

筆者の独りごと

滝口康彦や山本周五郎を読むきっかけは父の書棚に彼らの本が並んでいたからだ。

父の本は私の本でもあった。工業高校を出て口康彦氏は多久市で居住の時代劇作家で没後早10年になる。

昔から時代劇小説に親しみ。山本周五郎、藤沢周平、そして滝口康彦の三人をよく読んできた。

それぞれの作風を独断と偏見で評すると、山本周五郎は格調高いが説教臭く、藤沢周平は泣かせるが技巧的、滝口康彦は無残すぎて辛いという印象だ。

滝口の小説で特に好きなのは『異聞浪人記』。病床の妻子を置いて家を出た浪人が、なぜ無惨な最期を迎えるのか、滝口は冷徹に描いている。

幼い子を救いたい一心で犯した過ちを、武士たちは決して許さず、非道な方法で追い詰める。その無情さには胸をえぐられる。

この作品を原作に1962年に映画化された『切腹』も傑作だ。仲代達矢の演技は、下級武士が味わう無念さと意地を体全体で表現し鬼気迫るものがある。

滝口は下級武士の悲哀や苦悩を描き続け、武家社会の冷酷さと無残さを浮き彫りにしている。

中でも『異聞浪人記』はその筆致が際立ち、秋の夜にぜひ読んでほしい短編だ。

異聞浪人記 (河出文庫) 文庫 滝口康彦 (著)

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